ある離婚事件の思い出
2015.07.14更新
松戸の弁護士の島田亮です。
大分前のことですが、夫は妻の不貞を主張し、妻は夫のDVを主張するという離婚裁判を経験しました。私は、夫の代理人でした。
この事件では、当初、妻は、千葉地方裁判所松戸支部に保護命令(夫が妻に接近することを禁止する命令)の申立を行いましたが、これは認められませんでした。同時に、離婚調停が申し立てられましたが、双方の言い分が食い違い、調停での解決は出来ませんでした。
そこで、この事件は裁判になりました。そして、裁判の途中で、裁判官から和解(話し合いによる解決)の勧告がありました。しかし、双方の言い分が食い違うので和解でも解決できず、結局、判決が言い渡されることとなりました。判決は、夫の主張を認め、妻の主張は認めませんでした。
この事件では、もう一つ大きな問題がありました。子供のことです。
妻が幼い子供を実家に連れて帰ってしまい、それ以来、夫は子供に会うことが出来ずにいたのです。そのため、離婚の裁判には勝訴したものの、夫は子供に会うことが出来ない状態が続いていました。裁判の途中でも、夫は子供たちに会わせて欲しいと妻に要望しましたが、妻は頑なに拒否し続けました。
そこで、夫は、面会交流の調停(子供との面会を求める調停)を申し立てました。
この調停でも、当初、妻は、子供を夫に会わせることを拒否しました。それでも、時間をかけて、何度か裁判所で話し合いを行いました。
その結果、ひとまず裁判所内の一室で子供と夫を会わせてみよう、ということになりました。夫が子供と会えなくなってから、実に2~3年の時が流れていました。
夫と子供が面会する場面は、私も隣室で見ていました。どうなることかと思って見ていたのですが、2~3年も会っていなかったことが嘘のように、子供はすぐに夫にじゃれつき、一緒に遊び始めました。後で聞いたら、妻が、事前に夫の写真を子供に見せたり、夫の話をするなど、配慮してくれていたようです。
その後、裁判所外でも面会を行い、さらにそれ以降の面会の仕方について合意し、調停は無事終了となりました。調停が終わる頃には、夫はもちろんのこと、相手方である妻の笑顔も見ることも出来ました。
何年も調停や裁判を行ったので、夫も妻もとても大変だったと思います。離婚の裁判をやっている間は、お互いに負の感情をぶつけ合う場面も多くありました。それでも、最後には双方共に笑顔で終わることができたのが、何よりも良かったです。
先の記事では「早期解決が望ましい」と書きましたが、逆に時間をかけなければ解決できない事例もあるのだと、私も本当に勉強になりました。