2015.07.31更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

逮捕勾留された方にとって、弁護士と接見する機会が保障されることは非常に重要です。

そして、この接見は、「秘密裏」に行われることが保障されなければなりません。

 

もし検察官や警察官が接見に立ち会った場合、接見内容は捜査側に筒抜けとなります。そうなると、例えばどのような戦略に基づき弁護活動を行うかについて、込み入った協議を行うことは出来なくなってしまいます。

そこで、刑事訴訟法39条1項は、「立会人なくして接見」することを保障しています。このことから、逮捕勾留された方と弁護士とが接見する権利のことを「秘密接見交通権」と呼称したりします。

一般面会の場合は立ち会いが付くのに、弁護士の接見の場合は立ち会いが付かないのは、このような理由によります。

 

捜査機関が、事後的に、弁護士との接見内容を聞き出そうとすることも、許されません。

この点については、鹿児島地方裁判所平成20年3月24日判決、福岡高等裁判所平成23年7月1日判決などの裁判例があります。

これらの事例では、捜査側が、被疑者を取り調べる際に、接見中に弁護士とどのようなやり取りをしたかを聞き出そうとしました。そして、上記各判決は、このような捜査側の行為の違法性を明確に認定しました。

 

ところが、捜査機関が接見の秘密性を侵害する事例は、残念ながら後を絶ちません。

現在、千葉県でも、接見の秘密性が侵害された事例について、国家賠償訴訟が起こされています(そして、私も同訴訟に代理人として関わっています。)。

 

繰り返し言いますが、接見が「秘密裏」に行われることは、とても重要なことです。

全ての捜査機関は、接見の秘密性を十分に尊重しなければなりません。

2015.07.30更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

逮捕勾留された方には、防御の観点から十分な権利が保障されなければなりません。そして、この観点から最も重要なことは、弁護士と接見する機会が保障されることです。

逮捕勾留された方は、弁護士と接見して適切な助言を受けることによって、自分にどのような権利が保障されているかを把握することが出来ます。また、取り調べの際にどのように対処して良いか等も知ることが出来ます。

捜査側の権力は強大です。一方、逮捕勾留される方の大多数は、刑事手続きについての専門知識を備えていません。

一般の方が強大な捜査権力と対峙するためには、専門家である弁護士と接見する機会が保障されなければなりません。

 

このように、逮捕勾留された方が弁護士と接見する権利のことを、「接見交通権」と言います。

ところが、実際には、この「接見交通権」が捜査側によって侵害される例が後を絶ちません。

このような違法な捜査に対抗する手段として有用なのが、「国家賠償訴訟」です。「国家賠償訴訟」とは、公権力によって違法な行為が行われた場合に、損害賠償を求める訴訟手続きです。

この「国家賠償訴訟」という裁判の場で捜査側の行為を違法と認定させることによって、これまで何とか接見交通権の保障が確立されてきたという歴史的経緯があります。

 

実は、私も、かつて自らが原告となって、千葉地方裁判所松戸支部に国家賠償訴訟を提起したことがあります。

また、現時点でも、私は、複数の国家賠償訴訟の代理人を務めています。

こうした「国家賠償訴訟」は全くお金にはなるものではなく、ある種のボランティア活動のようなものです。それでも、弁護士として、接見交通権の保障に向けた活動を行うことは、非常に大切なことだと考えています。

2015.07.29更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

労働審判という手続きをご存じでしょうか?

労働関係でトラブルになった場合、当事者は地方裁判所に労働審判の申立を行うことが出来ます。

労働審判の申立があった場合、裁判官1名、労働審判員2名(労働者側の立場の民間人が1名、使用者側の立場の民間人が1名)からなる労働審判委員会が間に入り、原則3回の審理の間に解決を探っていくこととなります。

 

労働審判の良いところは、解決までの時間が比較的短く済む場合が多いことです。

労働審判では、原則3回の審理の間に話し合いによる解決が出来ないか、探っていくこととなります。そして、話し合いが付けば、調停成立となります。

この調停が成立する割合は、労働審判事件の大体7~8割と言われています。

したがって、労働審判の申立があった場合、大半のケースでは3回の審理の間に決着が付くこととなります。これは、裁判を起こした場合と比べ、圧倒的に早い解決と言えます。

 

このように利便性の高い労働審判なのですが、一つ重大な問題があります。

それは、千葉県の場合、労働審判を取り扱うことの出来る裁判所が、千葉市にある千葉地方裁判所本庁ただ1箇所であるという点です。

そのため、例えば、野田市に在住の方が野田市内にある会社を相手に労働審判を申し立てる場合でも、千葉市まで行かなければならないのです。これは非常に不便なことで、事実上労働審判の利用を躊躇させる要因となっています。

 

東葛地区には、千葉地方裁判所松戸支部という立派な裁判所があります。

そして、市民の利便性を考えれば、松戸支部で労働審判を取り扱わない理由は何もありません。

そこで、私は、例えば弁護士会で必要な運動を行い、松戸支部でも労働審判を取り扱うように働き掛けるべきと考えています。

2015.07.28更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

交通事故の被害にあった場合、加害者に損害賠償を請求することが出来ます。

損害賠償を求めることの出来る項目は、治療費、病院への交通費、休業損害など色々なものがありますが、この中に「慰謝料」という項目があります。

 

交通事故の場合の慰謝料には、大きく分けて二つの種類があります。

一つは、傷害慰謝料であり、もう一つは、後遺障害慰謝料です。

 

傷害慰謝料とは、事故により怪我をしてしまったことについて生じる慰謝料です。

傷害慰謝料は、原則として、入通院期間に応じて算定されることとなります。つまり、入通院の期間が長ければ長いほど、その人の怪我の程度は重く、その人が受けた苦痛の程度も大きいものと判断され、基準となる慰謝料額は高額となるのです。

 

一方、後遺障害慰謝料とは、後遺障害が生じた場合に発生する慰謝料です。

後遺障害には、その症状に応じて、1級から14級まで細かく区分されています(1級の方が重い後遺障害で、14級の方が軽い後遺障害となります。)。

そして、どの等級であるかによって、基準となる慰謝料額が決まってきます。当然ながら、1級に近い方が後遺障害の程度が重く、その分基準となる慰謝料額は高額となります。

 

慰謝料額はこのようにして決まってくるのですが、問題は、どのような「基準」に基づいて慰謝料額を算出するかということです。

この点、多くのケースで、保険会社は、交通事故被害者に対し敢えて低額な基準を示し、低額な慰謝料で示談してしまおうとします。つまり、保険会社は、適正な基準を知らない交通事故被害者を食い物にしているのです。このようなことは許されることでありません。

このような保険会社に対抗するためには、弁護士に委任をし、適正な基準に基づいて請求を行うことが重要です。

2015.07.27更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

各警察署には、逮捕勾留された方を留置するための留置施設が設置されています。

この留置施設の運営が適正に行われていることをチェックするため、各都道府県警察では、法律上、外部委員によって構成される留置施設視察委員会の設置が義務づけられています。

そして、私は、昨年度より、千葉県警察における委員を担当しています。

 

先週、私は、同委員の活動として、松戸からは少し遠方にある2箇所の警察署に行ってきました。

そして、留置担当官からの聞き取り調査、留置施設内部の視察、留置されている方からの聞き取り調査などを行いました。

私が面会した被留置者は、皆、「留置担当官は、忙しい中、丁寧に対応してくれる」と言っており、特に大きな問題は見あたりませんでした。

その一方で、細かい設備の点などについて若干の改善点が見つかりましたので、今後の改善策等について各警察署で協議を行いました。

 

ところで、各警察署を視察して感じるのは、留置担当官がとても忙しそうな点です。

もちろん、留置担当官は、皆一生懸命職務を果たしているものと思います。

それでも、業務が忙しいと、どうしても「法の最低限の基準さえ満たせばよい」という発想になりがちで、被留置者の人権に真に配慮した留置業務を行うことが困難となります。また、業務の忙しさは、重大なミスが生じる危険性を高める要因でもあります。

こうした問題を抜本的に改善するためには、留置担当官を増員するより他に方策がありません。

ところが、警察では、どうしても捜査担当官の人員確保が優先され、留置担当官の人員配備は後回しにされがちな傾向があります。

 

何か重大なミスが起こってからでは遅いのです。

私は、留置施設視察委員として、今後も留置担当官の増員を求める活動を行っていきたいと考えています。

2015.07.23更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

裁判所には「調停」という手続きがありますが、どのような手続きかイメージが湧きますか?

調停とは、話し合いによって問題を解決しようとする手続きです。

調停では、基本的に2名の調停委員が関係当事者の話を交互に聞き、双方の利害を調整することにより解決が出来ないかを探って行くこととなります。

そして、当事者間で合意が出来れば「調停成立」となり、合意が出来なければ「調停不成立」となります。

「調停不成立」となった場合は、手続きはそれでおしまいとなります。問題を解決するためには、別途裁判を起こしたりする必要があります。

 

調停が申し立てられる例として多いのは、離婚等の家事事件(家庭内の問題に関する事件)についてです。

これは、多くの家事事件で「調停前置主義」が採用されているからです。

「調停前置主義」のもとでは、いきなり裁判を起こすことは出来ず、まずは調停の申立を行わなければなりません。これは、家事事件の場合、いきなり裁判で白黒はっきりさせるのでなく、まずは話し合いによる解決を図った方が良いという考え方に基づきます。

 

と言うことで、離婚等の家事事件についてご相談いただいた場合、まずは調停を申し立てるというケースが多いと思います。

当事務所の近くには、千葉家庭裁判所松戸支部があります。松戸とその周辺地域(柏、鎌ヶ谷、流山、野田、我孫子)にお住まいの方から離婚等のご相談をいただいた場合、まずは同裁判所に調停を申し立てることによって、手続きを前に進めて行くこととなります。

2015.07.22更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

たとえご家族や知人の方が刑事事件で勾留されてしまっても、勾留先の警察署等に行けば面会することが出来ます(ただし、時間帯は平日の日中に限られ、警察官による立会いが付く等の制限があります。)。

ところが、裁判官によって「接見禁止決定」が発令されると、弁護士以外の方は一切面会ができなくなってしまいます。また、文書や書籍の差入れ、手紙のやり取り等も出来なくなってしまいます。

 

この「接見禁止決定」とは、証拠隠滅や関係者と不当に口裏合わせするおそれがある場合などに限って発令することが許されています。

しかし、現実には、そのようなおそれがほとんどないにもかかわらず、接見禁止決定が発令されてしまう場合が散見されます。特に、共犯者がいるとされる事件の場合、その傾向は顕著です。

 

勾留されている方にとって、ご家族や知人の方との関係性を維持することは、とても大切なことです。

たとえ、その人が犯罪を犯したのだとしても、その人が犯罪から立ち直る環境を整えることは重要です。そのためには、ご家族や知人の方との面会は大きな意義を持ちます。

また、事件について否認している方の場合、家族や知人の存在は支えになります。ところが、面会等が一切認められなくなってしまうと、勾留されている方は孤立してしまいます。勾留と接見禁止決定を組み合わせて被疑者を孤立させ、その間に不当に自白を迫ることは、捜査側の常套手段です。

そのため、安易に接見禁止決定を発令することは、許されることでありません。

 

先週、ある刑事事件で接見禁止決定が発令されたのに対し、千葉地方裁判所に異議申立を行いました。そして、異議申立が認められ、接見禁止決定は解除されました。

この事件では、幸いにも途中で接見禁止決定は解除されましたが、異議申立をしても棄却されてしまう例は多々あります。

それでも、弁護士として、必要のない接見禁止決定に対しその都度異議申立を行っていくことが重要だと考えています。

2015.07.21更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

自分の死後、自分の財産の分け方を指定するためには、遺言書を作成しておく必要があります。

遺言書は、自分一人で作成することも出来ます。もっとも、自分で作成した遺言書の場合、所定の形式を満たしていないと遺言書としての効力が認められなくなることがあります。また、折角作成した遺言書を紛失等してしまうおそれもあります。

 

そこで、遺言書を確実に作成したいとお考えの方にお勧めするのが、公正証書遺言です。

公正証書遺言とは、公証役場と言う所で、公証人と言う人が公的に作成してくれる遺言書のことです。公正証書遺言であれば、所定の形式を満たしていないが故に遺言としての効力が認められないのでないか、遺言書を紛失してしまうのでないか、などの心配をする必要がなくなります。

 

一方、公正証書遺言を作成する場合の一つのハードルが、証人二人を確保する必要がある点です。

遺言書には相当にプライベートな内容が記されるため、知り合いの方に証人を依頼することに躊躇を覚える方も多いと思います。そのような方は、専門家である弁護士に遺言書の作成をするのが良いと思います。

もし私が遺言書の作成に関する依頼を受ければ、証人は当方で確保いたします(当事務所職員と私自身が証人となる場合が多いです。)。また、松戸には公証役場もありますので、公証役場へ同行させていただくことも出来ます。

と言うことで、遺言書の作成を検討されている方は、是非ご相談いただければと思います。

2015.07.17更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

弁護士の業務の中核は、依頼を受けた個別の事案に取り組むことですが、他にも大切な業務があります。その一つが、弁護士会における委員会活動です。

弁護士会では、様々な法律問題に取り組むため、沢山の委員会を設けています。そして、多くの弁護士はいずれかの委員会に所属し、委員会活動を行っています。

私の場合、刑事事件に関心があることもあり、刑事関係委員会に多く所属しています。例えば、日弁連の刑事弁護センター、接見交通権確立実行委員会、千葉県弁護士会の刑事弁護センター、刑事法制委員会、千葉県弁護士会松戸支部の刑事弁護センター等です。

 

委員会における活動内容は多岐にわたります。刑事弁護に関するインフラ整備、新たな立法や運用への対応、現場で実際に生じた問題への対応、裁判所や検察庁等関係機関との折衝、弁護士向けの研修活動等々です。

委員会活動を行うことにより、日々、現場でどのような問題が生じているのかを把握することが出来ます。同時に、最新の法改正や新たな運用等にも通じることができ、自分自身の知識やノウハウを向上させることにも大いに役立ちます。

 

こうした委員会活動の多くは、夜間(午後6時以降)に行われています。弁護士の多くは日中は通常業務を抱えるため、皆が集まって委員会活動を行うとなると、どうしても夜間になりがちなのです。

そのため、私は夜間不在にすることも多いですが、何とぞご理解いただければと思います。

2015.07.15更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

現在、国会で審議中の安保法案が大きな問題となっています。そして、その裏で刑事手続きの改正も審議されているのですが、このことは余り知られていないかもしれません。

しかし、この刑事手続きの改正には、実は重大な問題が含まれているのです。

 

元々、今回の刑事手続き改正とは、自白に依存するなどした従来型の捜査手法に問題があることを前提にしたものでした。平成21年、大阪地検特捜部が、厚労省元次官の事件で証拠を改ざんしていたことは、まだ記憶に新しいと思います。他にも、当時、足利事件、氷見事件、布川事件等、重大なえん罪事件が多数明らかとなっていました。

 

そこで、従来型の捜査手法を改革しえん罪を防止するため、これまで刑事訴訟手続きの改正が検討されてきたのです。そして、ここでの最重要課題は、取調べの可視化(取調べの録音録画)をいかに実現するかでした。取調べが可視化されれば、取調べ状況が外部の目に触れるため、違法な自白強要の予防に効果を上げることが期待されます。

ところが、今国会に出てきた改正案では、取調べが可視化される範囲は全事件の2%程度であり、大幅に限定された内容でした。逆に、捜査側には、司法取引の導入、盗聴の拡大等、新しい武器(捜査手法)が与えられており、「焼け太り」としか言えないような内容でした。これでは、捜査権力はますます増大し、従前以上にえん罪を生じさせる危険性は高くなります。

 

このような刑事手続きの改正は許されるべきではありません。

私が所属する千葉県弁護士会も、平成27年5月に、本法案に反対する会長意見書を公表しています。

国会での審議がどのようになるかわかりませんが、今後もこの問題を注視していこうと思います。

前へ
まずは、無料相談をご利用ください。 弁護士島田亮 TEL:047-367-5301
top_img10_sp.png
直接会って相談する
直接会って相談する