松戸の弁護士の島田亮です。
刑事事件の一審で無罪判決が言い渡されても、現行法上、その後も勾留されることがあります。
しかし、このようなこと認められるのはおかしいとして、日本弁護士連合会(日弁連)が、平成27年11月11日に意見書を発表しました(なお、この意見書作成には、日弁連の委員会の一つである「刑事弁護センター」が関わっており、私も同委員会に所属しています。)。
そもそも、刑事訴訟法には「無罪推定原則」と言う原則があります。被疑者・被告人は、有罪判決が確定するまでは、無罪であることが推定されると言う原則です。
そして、一審で無罪判決が言い渡された人は、当然のことですが、他の被疑者・被告人と比べても、無罪であることがなお一層強く推定されるはずです。
それにもかかわらず、一審で無罪判決が言い渡された後も勾留を行うことは、許されるべきでありません。
この無罪後勾留問題に関し有名なのは、いわゆる「東電OL事件」です。
この事件では、一審で無罪判決が言い渡された後も、被告人のネパール人男性に対する勾留が行われました(結局、この事件では、その後、逆転で有罪が言い渡されたものの、約12年後に再審無罪判決が言い渡され、確定しました。)。
以前、私は、とある勉強会で、この事件における証拠状況等について詳しく話を聞いたことがあります。
詳細は省きますが、話を聞けば聞くほど検察側の立証に問題があり、ネパール人男性が真犯人である可能性は極めて低いものと思えました。
検察側の立証に問題があり、一審で無罪判決が言い渡され、無罪であることが強く推定されているにもかかわらず、なお勾留を行うことは、その人に対する重大な人権侵害に他なりません。
この問題について、私は日弁連の意見に全面的に賛成します。