松戸の弁護士の島田亮です。
民事事件、刑事事件を問わず、裁判において「尋問」は非常に重要な手続です。
この尋問手続は、弁護士にとって一つの腕の見せ所であり、経験や技術が問われることとなります。
尋問手続には、味方側の弁護士から質問を受ける「主尋問」と、相手側の弁護士から質問を受ける「反対尋問」とがあります。
当方証人に対する主尋問の場合、予めどのような問答を行うか、事前に打ち合わせを行うことが出来ます。
そのため、どのような質問を行い、どのように回答していただいたら良いかについて、尋問手続前に打ち合わせを行うこととなります(なお、「どのように回答していただくか」を打ち合わせると言っても、嘘の回答を行うよう打ち合わせを行うことはありません。)。
一方、相手方から反対尋問を受ける内容は、実際に蓋を開けるまでわかりません。
とは言え、相手側による反対尋問で証言の信用性が崩されないようにするため、事前に対策を取っておく必要があります。そこで、相手側からどのような質問が想定されるかを予測し、回答の仕方等について打ち合わせることとなります。
次に、相手側証人に対し反対尋問を行う場合、当該証言の信用性を崩すことが目的となります。
そこで、当該証人がどのような証言を行うかを事前に予測した上で、供述内容に矛盾点がないか、証拠と齟齬する点がないか等を事前に分析検討しておく必要があります。
その上で、当該証人が答えにくいような質問を準備し、あとはその場で臨機応変に対応することとなります。当然ながら、その場で臨機応変な対応を行うためには、経験と技術が必要です。
このように、尋問手続は、事前の準備が大事です。また、経験と技術が要求される難しさがあります。
そして、尋問に関する経験を積み、技術を磨くためには、実は刑事事件を多くこなすことが重要なのです。
なぜかと言うと、刑事事件ではほぼ例外なく尋問が実施されるため、必然的に経験が蓄積されて行きますが、民事事件では、尋問が実施されないまま訴訟が終結する場合も多いため、尋問の経験を積むことが出来ない場合があるからです。
民事訴訟の尋問手続を行っていると、時折、「この人はほとんど尋問の経験がないのだろうな」と思うような弁護士に遭遇することもあります。
弁護士を選ぶ際には、こうしたところに着目してみても良いかも知れません。