松戸の弁護士の島田亮です。
先物取引の事件について弁護士が委任を受けた場合、取引内容を子細に分析することが重要となります。
なぜなら、いつ、どのような取引が行われたかということは、客観的な事実であり、この点については、業者側も嘘を付くことが難しいからです。
例えば、勧誘段階で、担当者が「絶対儲かります」と言ってきたり、あるいは先物取引の危険性をきちんと説明しなかったとします。
もちろん、このような勧誘手法自体、違法なものです。ところが、そのことを問題にしようとしても、業者側は「そのようなことは言っていません」と嘘を付き、その結果、「言った言わない」の水掛け論に陥ってしまう場合があります。
一方、取引内容は、客観的な記録として残っているものなので、この点については、業者側もなかなか嘘を付くことが出来ません。
そのため、取引内容を子細に分析することにより、当該取引全体に問題があることを客観的に明らかにしていくことが出来るのです。
先物取引の場合、いくつか類型的に問題があるとされている取引があります(例えば、専門用語で、「両建(りょうだて)」「直し(なおし)」「途転(どてん)」「日計り(ひばかり)」「不抜け(ふねけ)」などと呼ばれる取引です。これらの取引を総称して「特定取引」と言います。)。
このように類型的に問題のある特定取引が、どの程度頻繁に行われていたのか。あるいは、損失中に占める手数料の割合はどの程度か。
こうしたことを、細かく分析することによって、当該取引に客観的にどのような問題があったのか(業者が、どのような取引手法を駆使して、委託者を食い物にしようしていたのか)がわかり、違法性を根拠付けることが出来るようになるのです。