松戸の弁護士の島田亮です。
もし遺言書に、特定の相続人だけに遺産を相続させる旨が記載されていた場合、他の相続人の方は相続を諦めなければならないのでしょうか?
もちろん被相続人(亡くなった方)の意思は尊重されるべきです。それでも、特定の相続人だけが遺産を相続することは、時に不公平な結論となります。
そのようなことから、民法には、「被相続人の意思」と「相続の公平」とを調整するため、「遺留分」という規定を設けられています。
遺留分とは、遺言により法定相続分を侵害された相続人が、遺産の一部を取り戻すことの出来る権利のことを言います。
遺留分は、基本的に、法定相続分の2分の1の割合で認められます(ただし、直系尊属のみが相続人の場合は、3分の1の割合となります)。
例えば、被相続人の配偶者の場合、遺産に対し4分の1の割合(法定相続分2分の1×2分の1)で遺留分が認められます。
また、同じ相続人であっても、兄弟姉妹に遺留分は認められていません。
注意しなければならないのは、遺留分の権利は、1年間以内に行使しなければならない点です。
この期間が過ぎてしまいますと、どれほど不公平な内容であっても、異議を述べることが出来なくなってしまいます。
実際に遺留分を請求する手続は、なかなか複雑です。また、正確な遺留分額を算定するにも、困難な作業を伴います。
遺留分の行使期間が1年間と短いことからも、遺留分の請求を検討されている方は、早い段階で専門家への相談をお勧めします。