松戸の弁護士の島田亮です。
逮捕勾留が適正に行われるべく、チェック機能を果たすのは、裁判官です。
ところが、現実に、このチェック機能がほとんど果たされていないことは、前回指摘した通りです。
このことは、私の地元の千葉地方裁判所松戸支部と松戸簡易裁判所でも、全く変わりありません。
少し古いデータを紹介します。
平成19年1月~平成20年10月の間、千葉地方裁判所松戸支部と松戸簡易裁判所で逮捕状が却下された件数は1件、勾留状が却下された件数は1件でした。
しかも、上記両件ともに、捜査側からの異議申立が認容されており、その結果、逮捕状と勾留状は全件が認容されていた訳です。
当時、私は、そのようなデータに接して衝撃を受けました。何とか、この現状を改善しなければならないと思いました。
その後、私は、このような現状を弁護士会でも報告し、裁判所に対抗する手だてがとれないかと考えました。
このような現状を変える方法の一つは、問題ある案件でその都度きちんと異議申立を行うことです。
異議申立がなされると、裁判所では、元の判断を下した裁判官とは別の裁判官が3名で再度判断を下さなければなりません。
問題ある判断にはきちんと異議申立を行うことにより、逮捕状や勾留状のチェックを行う裁判官に緊張感を持ってもらうことが重要です。
そこで、弁護士会では、特に若手弁護士向けにこのような現状を示し、きちんと異議申立を行うことに関する教育に取り組みました。
その結果、異議申立がなされる件数は、ここ数年で飛躍的に増えました。
そして、最近では、異議申立が認容されたり勾留状が却下されるなどの事例も、少しずつ報告されるようになっています。
今後もこうした取り組みを継続し、問題のある現状を改善して行かなければならないと考えています。