松戸の弁護士の島田亮です。
少し前に、「接見禁止決定」(勾留された方について、弁護士以外の人との面会や手紙のやり取り等を禁止する決定)が付されたものの、当方の異議申立により同決定が解除された事例を紹介しました。
ところが、その後、同じ事案について、千葉地方裁判所で再度接見禁止決定が付されてしまいました。
この方が起訴される際に、検察官が再度接見禁止決定を求め、裁判官がこれに応じて接見禁止決定を発令したのです。
一般に、接見禁止決定は、証拠隠滅のおそれが高い場合に発令されます。
そして、起訴された場合、この証拠隠滅のおそれは一般的に低くなります。
なぜなら、起訴されたということは、一連の捜査が終了し、裁判段階に進むことを意味するからです。
裁判を行う上で必要な証拠は、起訴時点でほぼ全て検察官の手元に存在します。
したがって、たとえ証拠隠滅のおそれが問題となるとしても、起訴後はそのおそれは当然低くなるのです。
今回問題となった事例は、起訴される前の段階で、すでに証拠隠滅のおそれが高くないと判断されていました。だからこそ、起訴前の時点で、接見禁止決定に対する異議申立が認められていたのです。
それにもかかわらず、起訴と同時に再度接見禁止を求める検察官の感覚が、私には理解できません。
加えて、問題なのは、検察官の請求をそのまま認めてしまった担当裁判官の感覚です。
もしかしたら、担当裁判官は、記録にきちんと目を通さず、一度接見禁止決定に対する異議申立が認められていたのを見落としていたのかもしれません。もしそうだったのであれば、それはそれで重大な問題です。
このようなことから、私は、再度、接見禁止決定に対し異議申立を行いました。そして、再度、接見禁止決定に対する異議申立が認められました。
残念ながら、このような問題事例は、今後も発生するおそれがあります。そして、問題が発生すれば、弁護人として適切に対処することが求められていると思います。