2015.07.15更新

松戸の弁護士の島田亮です。

 

現在、国会で審議中の安保法案が大きな問題となっています。そして、その裏で刑事手続きの改正も審議されているのですが、このことは余り知られていないかもしれません。

しかし、この刑事手続きの改正には、実は重大な問題が含まれているのです。

 

元々、今回の刑事手続き改正とは、自白に依存するなどした従来型の捜査手法に問題があることを前提にしたものでした。平成21年、大阪地検特捜部が、厚労省元次官の事件で証拠を改ざんしていたことは、まだ記憶に新しいと思います。他にも、当時、足利事件、氷見事件、布川事件等、重大なえん罪事件が多数明らかとなっていました。

 

そこで、従来型の捜査手法を改革しえん罪を防止するため、これまで刑事訴訟手続きの改正が検討されてきたのです。そして、ここでの最重要課題は、取調べの可視化(取調べの録音録画)をいかに実現するかでした。取調べが可視化されれば、取調べ状況が外部の目に触れるため、違法な自白強要の予防に効果を上げることが期待されます。

ところが、今国会に出てきた改正案では、取調べが可視化される範囲は全事件の2%程度であり、大幅に限定された内容でした。逆に、捜査側には、司法取引の導入、盗聴の拡大等、新しい武器(捜査手法)が与えられており、「焼け太り」としか言えないような内容でした。これでは、捜査権力はますます増大し、従前以上にえん罪を生じさせる危険性は高くなります。

 

このような刑事手続きの改正は許されるべきではありません。

私が所属する千葉県弁護士会も、平成27年5月に、本法案に反対する会長意見書を公表しています。

国会での審議がどのようになるかわかりませんが、今後もこの問題を注視していこうと思います。

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